第29話 炎竜7【ダンジョン飯各話考察】
29話は今までの伏線を少しずつ回収しながら話が大きく転換します。ここから始まる新展開、じっくり楽しみましょう。
※この記事はダンジョン飯第5巻とそれ以前のネタバレを含んでいます。
物語を最大限に楽しむために、掲載分を読んでいない方はブラウザバックを推奨します。
第29話 炎竜7
(九井諒子『ダンジョン飯(5)』p.6 /KADOKAWA エンターブレイン)
5巻表紙のファリンは操られたように徘徊し、魔術をかけられたのち冒頭からパーティ離脱します。
左目から血を流すファリン。4巻の伏線とつながります。
(九井諒子『ダンジョン飯(5)』p.17 /KADOKAWA エンターブレイン)
チルチャックがナイフを刺した左目。
(九井諒子『ダンジョン飯(4)』p.93 /KADOKAWA エンターブレイン)
更に、ファリンが手に持った途端逃げるケン助。
(九井諒子『ダンジョン飯(4)』p.172 /KADOKAWA エンターブレイン)
異常なほどの魔力増幅。
(九井諒子『ダンジョン飯(4)』p.161 /KADOKAWA エンターブレイン)
4巻のさり気ない描写と一気に繋がります。
ファリンは黒エルフが使役する炎竜と魂が混ざり人格が別の人物になっています。
4巻27話【炎竜6】でのマルシルの「迷宮に魂が縛られるのは人だけ」という発言と、デルガルを慕うような発言からこの炎竜はもともと人であったのではないかと個人的には推察しています。
ちなみにライオスが刺した逆鱗…これが喉の傷と対応しているかは断言できない微妙なラインで留められています。
(九井諒子『ダンジョン飯(4)』p.101,p.149/KADOKAWA エンターブレイン)
幽霊の手を振り払うファリン。ファリンが誘い出されるのを幽霊たちはあきらかに意思を持って止めているように見えます。
黒エルフ登場時にマルシルが「子供…!?」と驚くシーンがあります。
(九井諒子『ダンジョン飯(5)』p.16 /KADOKAWA エンターブレイン)
ダンジョン飯では種族間の年齢には基本的に理解がないことが多く、センシがチルチャックのことを子供呼ばわりしたり、ナマリがトールマンの年齢なんてわかるか!と怒るシーンがありました。
同じ種族でないと「年齢は全く推測出来ない」ということは、この漫画では一貫して描写されています。
ここではエルフのマルシルのみが見た目でこの黒エルフを子供だと判断しています。
しかしこの2巻で出てきた黒エルフ、どうも怪しいキャラです。
話中で出てくるデルガルの過去であろう絵画の世界で、時を超えて登場しています。
見た目はほぼ変わらず。ライオス、エルフ共に絵画の中の記憶もあります。黒エルフが絵の世界に身体を封印しているのか、はたまたトールマン何世代分も生きているのか。
作中でエルフの寿命についてはまだ触れられていないため、ハッキリとはわかりません。
(九井諒子『ダンジョン飯(2)』p.126 /KADOKAWA エンターブレイン)
そしてよく見るとこの手。このシワ。
明らかに普通の時間軸で生きていないように見えます。身体を若く保つ魔術でしょうか。それとも幻影の魔術の類でしょうか。
また非常に気になるポイント。狂乱の魔術師と書かれてはいますが、これは他者によって明言されたものではなく、どうも真実を隠されているような気がしてなりません。
(追記:後の巻より判明、狂乱の魔術師で間違い無いようです。)
黄金城はデルガルのもの。
黒エルフは「簒奪者が」とライオス達に憎しみを込めた目を向けます。
この黒エルフ、マルシルが使うのを躊躇っていた古代魔術を当然のように使います。
ここで細かい描写について。
マルシルは古代魔術を使う際、自分の血を触媒のように使います。蘇生のシーンでも自分の手のひらを切り血を使いましたが、今回は小さな竜に顔を切られ、頬を伝う血を拭う動作をしてから詠唱へと移っています。古代魔術固有のルールの可能性が高いです。
(九井諒子『ダンジョン飯(4)』p.132 ,『ダンジョン飯(5)』p.20 /KADOKAWA エンターブレイン)
マルシルが黒魔術で小さなドラゴンの魔術を解除し、一度攻撃をしのぎますが、床が割れ、迫る壁の中でライオスたちは逃げ場を失います。
こちら、元ネタがあります。ウィザードリィで罠にかかるとまれに行けないはずである壁の中にワープして、死亡状態になってしまうという仕様です。
いしのなかにいる - ニコ百 http://dic.nicovideo.jp/id/4313048
迫る壁の中で奮闘するライオス一行の行動、
センシは力任せに壁を押す、
チルチャックは仕掛けがないか探り出口を見つけようとする、
マルシルは杖とレッグプレスを使って壁を押す
…といったように各自個性が出ています。
(九井諒子『ダンジョン飯(5)』p.28 /KADOKAWA エンターブレイン)
急に壁に穴が空き、別部屋に移動するシーンですが、このシーン…2巻にある動く絵画に見覚えがあるような印象を受けます…。
以上、29話でざっと気になるところをまとめてみました。1回読んだだけでは気づかない細かい描き込みがたくさんあり、とにかくものすごい密度です。
5巻は全体的に話のつながりが多く他の巻と比べても濃い話が多く読み応えがあるので是非是非読み返して新たな発見をしましょう!