ダンジョン飯の世界事情

こちらは作者、作品とは全く関係のない非公式ファンブログです。

第34話 コカトリス【ダンジョン飯各話考察】

 

みんな大好きマルシル石化回。

ギャグたっぷりですが設定の宝庫です。

 

 

※この記事はダンジョン飯第5巻とそれ以前のネタバレを含んでいます。

物語を最大限に楽しむために、掲載分を読んでいない方はブラウザバックを推奨します。

 

 

第34話 コカトリス

 

f:id:fairlysan:20190507214306j:plain(九井諒子ダンジョン飯(5)』p143 /KADOKAWA エンターブレイン)

 

扉絵はライオスに魔法を教えるファリン。トーデン兄妹は成人してからは親元を離れしばらくの間二人暮らしをしています。彼らの家の中が描かれるのは4巻にあった幼少期の回想から2度目で、マジックアイテムとしてコップ、花、鳥の羽、糸、さじ、貝殻、魔術書などが置かれています。

 

ちなみにここでファリンが教えている雪の結晶を作る魔法は1巻4話【オムレツ】でファリンに魔法を見せるマルシルの扉絵と対になっています。

 

 f:id:fairlysan:20190507214207j:plain(九井諒子ダンジョン飯(1)』p89 /KADOKAWA エンターブレイン)

 

 

冒頭からマルシルとの距離感につまづくライオス。

回復魔法は患部に直接触れる必要があるため、どうしてもコミュニケ―ションに難が生じてしまうという話題です。

 

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(九井諒子ダンジョン飯(5)』p149 /KADOKAWA エンターブレイン)

 

 

この話、作中ではなく応募者全員サービスのてぬぐいでさりげなく描かれていたりします。こういうことですね。

 MMOの「回復役の女性は男に囲われ姫になりがち」「恋愛がらみでパーティ解散」というあるあるとかけているようにも見えます。

 

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(九井諒子ダンジョン飯手ぬぐい』ハルタ応募者全員サービス /KADOKAWA エンターブレイン) 

 

 

回復魔法でかさぶたがとれた!と喜ぶマルシルですが、ダンジョン飯での回復魔法は、おそらく肉体の位置を戻し人間が持つ自然治癒能力を何倍にも上げるというものなので、魔術…というよりは医学的な解釈に近いように感じます。

 

回復の際、傷が治るサインとして痛みやかゆみが生じるのは想像に容易いです。

 

 

 f:id:fairlysan:20190507213652j:plain(九井諒子ダンジョン飯(4)』p115 /KADOKAWA エンターブレイン)

 

 

 

黒魔術について、チルチャックがマルシルに皮肉を投げかけますが、古代魔術は禁忌とされ関わるとろくなことにならない…というチルチャック(やセンシ、ライオス)の認識とマルシルの認識の間にはかなりの差があることが繰り返し描かれています。

 

マルシルは古代魔術については専門的に研究してきたという発言がありますが、過去に古代魔術について研究しているという人物は今の時点でタンスしか出てきていません。

しかしタンスが古代魔術について言及している間、マルシルはダウンしていた為、二人はお互いが研究者であることを知りません。

 

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(九井諒子ダンジョン飯(3)』p116 /KADOKAWA エンターブレイン)

 

 

古代魔術の位置づけはダンジョン飯の根幹に関わる部分ですが、おそらくこの先も重要な情報は小出しにされていくと思われます。

 

 

古代魔術とは、「無限が存在する異次元からエネルギーを持ってくる魔術」

 

ここでマルシルがエネルギー力学の延長としての古代魔術を説明し始めます。魔法を物理学的に説明するのが面白いですよね。

 

他のファンタジーと比べても蘇生、戦闘ほかあらゆる場面でエネルギー保存の法則がつきまとうのが、ダンジョン飯のリアリティを裏付ける要因の一つになっています。

 

別の次元からダンジョンや魔物を作るエネルギーを持ち出すことでダンジョンを作る。古代魔術がダンジョン作りと切っても切れない関係にあることがここの説明でわかります。

 

 

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(九井諒子ダンジョン飯(3)』p64 /KADOKAWA エンターブレイン)

 

 

 

 

以下小ネタ拾い。

 

 

ライオスの魔力酔い。背景にある変な文字はひらがなで「たすけて」「しなせて」「まじゅつしを」。幽霊の声ですね。もしかすると妹のファリンが霊術に長けていることと関係があるのかもしれません。

 

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(九井諒子ダンジョン飯(5)』p153 /KADOKAWA エンターブレイン)

 

 

 

 

バジリスクピット器官での体温認識。白黒ですがグラデーションでサーモグラフィー的な表現ですね。ピット器官は直後コマでのヘビのアップで口元にわかりやすく描かれています。口元に連なる小さなくぼみです。

 

 

f:id:fairlysan:20190507214906j:plain(九井諒子ダンジョン飯(5)』p157 /KADOKAWA エンターブレイン)

 

 

 

 

マルシルの石化について石化してからの対策を真っ先に教えるライオスですが、石化状態よりも、石化してから砕けたときに蘇生するのが大変というのは回想ですが以前にも描かれています。知識がボケにつながるという珍しいパターン。

 

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(九井諒子ダンジョン飯(4)』p23 /KADOKAWA エンターブレイン) 

 

 

 

ライオスの指の折り方がヨーロッパ式です。

 

f:id:fairlysan:20190507213255j:plain(九井諒子ダンジョン飯(5)』p168 /KADOKAWA エンターブレイン)

 

 

 

 

 

ここで挙げられている「石化を治す薬草」は1巻のバジリスクの調理の際に使ってしまっているという皮肉っぷり。

 

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(九井諒子ダンジョン飯(5)』p170 /KADOKAWA エンターブレイン)

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(九井諒子ダンジョン飯(1)』p81.83 /KADOKAWA エンターブレイン)

 

 

 

 

ザワークラウトアイスバイン共にドイツ料理。通常は豚肉で作られます。割と序盤から料理を国ごとに統一しています。

 

 

f:id:fairlysan:20190507213144j:plain(九井諒子ダンジョン飯(5)』p173 /KADOKAWA エンターブレイン)

 

 

 

170ページに「あ、まつ毛が折れた」という台詞がありますが、よく見るとマルシルの左目のラインが薄くなっています。ここは本誌から単行本になった際の変更点。

 

 

f:id:fairlysan:20190526101146j:plain(九井諒子ダンジョン飯(5)』p174 /KADOKAWA エンターブレイン)

 

 

以上、いろんな意味で面白い丁寧なギャグ回。1話の構成が美しくて好きです。

1話ごとのネタ解説もいいですが魔術や地形に絞るのもいいななんて思っています。