ダンジョン飯の世界事情

こちらは作者、作品とは全く関係のない非公式ファンブログです。

第22話 地上にて 【ダンジョン飯各話考察】

※この記事はダンジョン飯第4巻とそれ以前のネタバレを含んでいます。

物語を最大限に楽しむために、掲載分を読んでいない方はブラウザバックを推奨します。




4巻を持ってる方は是非、単行本を片手に…こういう捉え方もあるのかーという気持ちで目を通してくださると嬉しいです。

 

交流させていただいているファンの意見を参考に穴埋めをしている部分もあります。気づいた点などありましたらコメントをいただけると嬉しいです。





第22話 地上にて



主人公の出番はなく、ほぼタンスパーティ(タンス夫妻、キキ、カカ、ナマリ)しか登場しない回ですが、とにかく情報量が多いです。


ダンジョン飯の世界観を深める重要な回…ということで思ったことを思った通りに、少しの感想も入れつつ、まとめてみました。



•島の地図から読み取れること

 

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(九井諒子ダンジョン飯(4)』p.5 /KADOKAWA エンターブレイン)

 


扉絵で、舞台となる島の地図がはじめて描かれます。

『島…ドワーフ、エルフ、トールマンと様々なその時代の所有者にあらゆる名で呼ばれてきた。今ではその殆どが風化し。ただの「島」と呼ばれている。
メリニ村…漁業を営む小さな村だった。迷宮が発見されて大きく変わってしまった。
大通り…冒険に必要な道具や食糧はここで買い揃える。
迷宮入り口…村の地下墓地から繋がっている。墓としてはもう機能していない。』

 

今回の舞台となっている黄金城の迷宮は、村の地下墓地からつながっていることが公開されています。「墓としてはもう機能していない」というのは1巻第1話で描かれている通りですね。


扉絵に本編で描ききれない設定を小出しにするのは、ダンジョン飯の特徴でもあります。細かいところもできる限り拾っていきたいです。

 


•ナマリ達の帰還



地下から帰還魔法を使って戻ってきたタンス一行。ナマリは魔力酔いで気分が悪くなりキキカカに介抱されます。

ドワーフであるナマリにのみ症状があり、ノームとトールマンであるタンス夫妻とキキカカは平気なのは4巻よもやま話(巻末オマケ漫画)にある魔力のキャパシティの話に繋がります。

 

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(九井諒子ダンジョン飯(4)』p184 /KADOKAWA エンターブレイン)


マルシル曰く、魔力容量の多いエルフやノームに対して、センシやナマリ等のドワーフは特に魔力容量が少ない種族だそうで。嘔吐などの症状が起こるようです。乗り物酔いと近いイメージでしょうか。



•迷宮の出現で変わった島


タンス氏は迷宮から見つかる黄金や宝などから島が裕福になったことについて触れています。
1巻6話【動く鎧1】でのライオスの回想にもあったように、数年前までは金剥ぎの一団として冒険者が迷宮に金を取りに行くことが頻繁にあり、資源としての価値は高いことがわかります。

 

f:id:fairlysan:20200526015730j:plain(九井諒子ダンジョン飯(1)』p.140 /KADOKAWA エンターブレイン)


タンスがこぼした「わしにはあの黄金は虫を誘う蜜のように思えるがね…」

この含みのある台詞もなんとなく印象に残ります。後のストーリーに関わってくるのでしょうか。



•迷宮の経済的影響


ここで新キャラクター『島主』が登場します。40~50代くらいに見えるトールマン。ドワーフに対して「忌々しい」「まるでもぐらだ」と人種差別とも取れる発言をしています。


島主により、過去にドワーフ(とノーム)の軍勢とエルフの軍勢で戦争が起こり、島を巡って争ったという過去が明らかになります。

 

タンスの報告で、迷宮内に無法者が増えた、オークが浅層に現れるようになったとありますが、2巻でライオス達が見た通りの正確な報告です。

 

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(九井諒子ダンジョン飯(2)』p.33 /KADOKAWA エンターブレイン)


ここからの展開を簡単にまとめてみます。


『最近、西に住むエルフから「迷宮を返上しろ」と文が届いた。
島主はエルフ達の目的は迷宮に眠る財宝だと考えていたが、タンス氏は、迷宮にかかった不死の術こそがエルフたちの目的だと言葉を荒げる。


迷宮のあちこちに描かれた魔法陣はエルフ言語であり、迷宮の支配者がエルフであることを裏付ける要因となっている。迷宮の返還を迫るエルフにとっては有利な状況。
タンスは一刻も早く迷宮の設計図を手に入れなければならないと言う。』



西のエルフは後に物語の鍵を握る重要なキャラとして出てくると予想されます。

RPGでは一般的に、ダンジョンは魔物が溢れる危険なものであるという認識であることが多いですが、ダンジョン飯の世界では、ダンジョンは危険ではあるが国の資産のようなものとして扱われており、設定としては非常に珍しいと感じます。



•ナマリとキキとカカ


タンスの率いるパーティにいる、ナマリ(ドワーフ)、キキ(トールマン)、カカ(トールマン)。ナマリがこの2人に出会ってから1週間程度…ですが、お互い気を遣いつつも信頼を築いていこうとする関係性が見て取れます。


キキとカカは幼い頃にタンス夫妻が酒場で拾い、養子として大切に育ててきた過去があります。(ハルタ付録デイドリームアワー2より)

元々は「かかかか」「きききき」という名前だったそうですが、これはサブアカウントとして適当な名前で作られ、初期装備を剥いで酒場に放置された所謂捨てアカウントですね。

ナマリは「ちょっと用事」と一言声をかけ、向かった先は蘇生所。ここで少し距離を空けて付いてくるキキとカカ。


蘇生所のある場所は蘇生所のある場所は迷宮近くの寺院の地下。

 

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(九井諒子ダンジョン飯(4)』p.19 /KADOKAWA エンターブレイン)


作中では語られていませんが、ここは正確に言うとダンジョン内(魔力が満ちる場所)なのだと思われます。魂が縛られる呪いはこの迷宮内でしか効力がないので、地上に遺体を持ち出すことは出来ません。

 

おそらく迷宮から横穴のようなもので繋がっており、直接遺体が運び出せるようになっていると推測されます。

蘇生所の主人はナマリに会うなり「お前ライオスのところ抜けたって本当か」と声をかけます。


ナマリと蘇生所の主はそこそこ親しいようです。

ナマリがライオスのパーティを抜けて、はじめて蘇生所に足を運んだのは、マルシルとの会話をがあったせいなのかもしれません。

 

f:id:fairlysan:20200526015617j:plain(九井諒子ダンジョン飯(3)』p.161 /KADOKAWA エンターブレイン)


ここでキキとカカは蘇生所を利用したことがないと明かし、ナマリが2人に説明を始めます。

 

 


•蘇生魔法の仕組み


刺し傷、切り傷を治すのは簡単、身体の1/13を失ったり、炭化したりすると蘇生率がグンと下がる。

 

f:id:fairlysan:20190211203124j:plain(九井諒子ダンジョン飯(4)』p.21 /KADOKAWA エンターブレイン)


『蘇生には成功率があり、失敗すると蘇生不可になってしまうので、蘇生確率の高い腕の良い魔術師が来るまで損傷の激しい死体は放置される。』


3巻第19話【テンタクルス】でナマリが頭部を撃ち抜かれて死亡した際の蘇生の仕方、優秀な治療師であるタンスの発言を見ると、蘇生=治療魔術であり、身体を生命活動のできる状態にさえ戻すことさえ出来れば、魂を身体に戻すことで生き返るのではないかと考えられます。

 

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(九井諒子ダンジョン飯(3)』p.116 /KADOKAWA エンターブレイン)

回復魔法を使える魔法使いは蘇生術も使えるということです。
この世界だから成り立つ、蘇生魔術は回復魔法の延長であるという考え方はダンジョン飯特有の設定で、とても面白いです。

 

 

•死の恐怖を忘れるな

 

体への痛み、負担はあるとはいえ、死亡しても何度でも生き返るこの世界に慣れてしまうと、死ぬことに対して抵抗がなくなります。この話では「蘇生不可能・蘇生困難になる場合」を挙げ、いつ生き返れなくなるかわからない、決して恐怖は忘れてはいけないとナマリの台詞で釘をさすことで読者に対しても死への緊張感を高めています。

 

以前、タンスの身代わりに殺されたナマリが激昂していたのもこのシーンから理解できます。

 

 

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(九井諒子ダンジョン飯(3)』p.115 /KADOKAWA エンターブレイン)

 

ダンジョン飯の世界が決してライトな世界観ではないことがわかる重要な会話です。

 



•チルチャック以来の年齢公開


ナマリは61歳、キキカカは20歳、タンス主人210歳、タンス夫人204歳。チルチャック29歳以来初めての年齢公開です。果たしていまだ年齢が明かされていない主人公は何歳なのか…。

キキとカカは20歳にしては大人の色気がありますよね。見た目はどちらかというとアジア系の黒人に見えます。女性がキキ、男性がカカです。

 

 

•ナマリの噂


蘇生所の主人も知っていましたが、酒場でもナマリがライオスのパーティを抜けたことが一週間程度で広まっているのがわかります。このシーンは3巻第20話【シチュー】でチルチャックが言及していた冒険者同士の噂事情と繋がります。

 

 

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(九井諒子ダンジョン飯(3)』p.143 /KADOKAWA エンターブレイン)

各話との細かいつながりが非常に多いことがわかります。

 


以上、ゆるく考察と感想でした。

ツイッターの延長のようなノリでグダグダと語ってしまいすみません。ダンジョン飯の各話について掘り下げた記事がないので、自分用としても時々このような記事を書いていきたいと思います。
最後まで付き合っていただきありがとうございました。